[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ふと、上げた顔に宿る二つのサファイアブルーの瞳が綺麗だと思った。なんでも作り出せるその二本の両手はとても万能なのだと思った。口元はちゃんとキツク結ばれ、乾きを潤す為に一回瞬きした目で真っ直ぐ俺を捕えた時、まるで荒野の真ん中で佇んでいるかのような、自分だけ世界に弾き出されたかのような孤立感を覚えた。他人に見つめられるのはあまり気分の良いものでは無い。むしろ不愉快である、向けられている目を潰したくなる―――そんな衝動すら湧き上がることさえ許さない。俺はそのまま硬直して、固唾を呑む。それが、俗に言う魅入られているという奴だった。だがそんなことは勿論、知る由もない。
ふと、こちらを向いた顔に宿る二つのアメジストの瞳が綺麗だと思った。どんな戦略を練っても、常に一歩先を追い越されてしまうその二本の両手から繰り出されるデュエルは、正しく華麗な勝利を決めてしまう王者の手だと思った。他の人よりも一際白い肌を持つ端正な顔は、何一つ表情を変えず、只自分を凝視しているだけのこの状況に酷く違和感を持ってしまった。そして、暫くそのままでいると、西洋人形のように透き通った大きな瞳はまるで自分自身を見透かされているかのような錯覚に陥ってしまう。ああ、綺麗だな。多分、それだけだった。それだけで十分すぎる感嘆である。そして、そのままその名前すらない衝動に身を任せて手を伸ばしてみた。案の定「俺に触るな。」と、手厳しく手を払われてしまったので、触ることは叶わなかったが